凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
エリンのおかげで、これが自分だとは思えないくらい素敵な見た目にしてもらった。しかし、カルロスの様子から、隣に並ぶには物足りなく感じているように感じられ、ルーリアは申し訳なさそうに表情を曇らせた。
そんなふたりに苦笑いを浮かべながら、エリンが口を挟んだ。
「お花のように可愛らしくて、奥様は注目の的ですね」
「そ、そんなことないです」
「いいえ、既にカルロス坊ちゃんの心は掴んでおりますよ」
ルーリアが恐縮気味に否定すると、すかさずエリンが指摘し、カルロスが慌てて顔を背けた。
そして「準備が出来たなら行くぞ」とぶっきら棒に呟いて、カルロスは先に居間を出て行く。
エリンと同じく、苦笑いするレイモンドと共にルーリアも居間を出て、カルロスに続くように屋敷を出る。
用意してあった馬車に向かって進んで行く途中で、玄関先まで見送りに出てきてくれていたエリンが「おふたりとも!」と声を張り上げて呼びかけた。
「会場は混雑すると聞いております。もっとぴったり寄り添って歩いてくださいな。ルーリア奥様が迷子になって、行方が掴めなくなってしまったら、本当に大変ですからね」
にっこり笑いながらのエリンの言葉にカルロスは一瞬で真顔となり、レイモンドをちらりと見た。エリンの口振りから、かつて探していた少女がルーリアであることが伝わっていると察したからだ。
頬を染めるルーリアの横で、レイモンドは堪えきれずに笑い出した。