凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜

 そのままルーリアはカルロスと共に馬車に乗り込む。
 普段忙しい彼とふたりっきりの時間を持てているのだから、何か話をしたいと思ってはみても、話題が思いつかない。その上、彼が難しい顔で何か考えていることもあり、ひと言も言葉を交わすことなく城に到着する。
 馬車を降りた後、「楽しんで行ってらっしゃいませ」とレイモンドに見送られ、ルーリアはカルロスに続いて城の中へと移動する。

(とっても綺麗ね)

 まったく余裕がなかった前回と違って、ルーリアは廊下に飾られてあるステンドグラスや、細かい模様が入った柱などに気を取られながら進んでいく。
 しかし途中で、カルロスに気づいた女性たちが一様にはしゃいでいることに気づいてしまえば、そればかりが目についてしまい徐々に視線を俯かせていく。
 女性たちはカルロスに黄色い声を上げた後、必ずルーリアの方を見て、不満そうな顔をするからだ。

(カルロス様は素敵な方だもの、女性に人気があるのも納得だし、本当なら私が結婚できるような人じゃないっていうのも、ちゃんとわかってる)

「ルーリア」

 そっとネックレスの魔法石に触れた時、カルロスが肩越しにルーリアを振り返った。

「……掴まれ」

 そう言って、カルロスはルーリアが掴みやすいように、己の腕を動かしてみせた。

「大丈夫です。私、カルロス様のそばを離れませんから、迷子にもなりません」

 彼の仕草からすぐにエリンの言葉を思い出し、ルーリアはそう返すが、カルロスはゆるりと首を横にふる。

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