凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
俺の妻というひと言がくすぐったく、そして嬉しさが心の中で熱となってじわりと広がっていくのを感じながら、ルーリアは彼に手が届く距離までゆっくりと近づいていく。
視線が近づいたことへの気恥ずかしさを堪えつつ、ルーリアはカルロスの腕をそっと掴んだ。服越しに逞しい腕の感触が伝わってくれば、否が応でも異性として意識してしまい、ルーリアは熱くてたまらない顔を彼に見られないように、視線を俯かせた。
度々上がる女性たちの黄色い声を聞きながら進んでいくと、やがて外廊下へと出た。緩やかに曲がった通路の先から庭園へと出られるようになっていて、タイルが広範囲に敷き詰められたそこに、たくさんの人の姿があった。楽師たちが優雅な調べを奏でる中で、グラス片手に談笑したり、踊っていたりとそれぞれに時間を過ごしている様子だ。
その中に、男性たちに囲まれて愛らしい笑みを浮かべているアメリアの姿を見つけ、ルーリアの足が止まりかける。
「大丈夫。不安がることはない。俺がついている」
すかさずカルロスから力強く響いた言葉に、ルーリアは視線をあげて「はい」と冷静に返事をした。
(……私にはカルロス様がついている。大丈夫)
誰よりも自分のそばにいる存在を心強く感じながら、ルーリアはカルロスと共に庭園の奥にいる王妃だけを見つめて、周りを気にすることなく真っ直ぐ進んでいった。
近くまで行くと、男女の貴族とちょうど話し終えた王妃の目線がカルロスとルーリアを捉え、「まあ!」と嬉しそうに顔を輝かせた。