凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
カルロスの独白に続いて背後から明るい声が響き、ルーリアはわずかに顔色を変える。
「お姉様がいなくなってから、ずっと寂しかったわ」
振り返ると同時に、アメリアが抱きついてきた。もちろん、これまでほとんど一緒に過ごしていないアメリアに「寂しかった」と言われても信じられず、ルーリアはただただ体を固くする。
「今日はカルロス夫妻がお見えになると聞いていたから、ルーリアに会えるのを楽しみにしていたのよ。この前はごめんなさいね、許してちょうだいね」
そこへクロエラもやって来て、屋敷に押し入ったのもまるで些細なことかのようにあっさり言ってのけると、カルロスとルーリアに笑いかけた。
周りの目には、微笑ましい光景に映っているだろうけれど、実際はアメリアの手がきつくルーリアの腕を掴んでいたり、クロエラの目の奥が笑っていなかったりと、ルーリアはこの状況が怖くて仕方ない。
「カルロスお義兄様との生活はどう?」
アメリアはにっこりと笑って問いかけた後、冷めた顔へと表情を一変させ、声音も落として続ける。
「聞かれても答えられないわよね。結婚式も挙げてもらえないみたいだし、実際は相手にされていないんでしょう? お父様が無理に話を押し通したって聞いたわ。ディベル伯父様の逆鱗に触れ、お父様はひどい有様だけど、頭を冷やすべきなのは同感よ」
ルーリアは「お父様」と強張った声で呟く。自分のことで精一杯で、逃してくれた両親のことまで気が回らなかった。そうなると母親も辛い目に遭わされていてもおかしくなく、不安になってくる。
不安そうに瞳を揺らしているルーリアへ気遣う眼差しを向けるカルロスに、アメリアは不満そうに顔を顰め、憤りを言葉にして吐き出す。