凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜

「厄介者のお姉様を押し付けられて、カルロスお義兄様もお可哀想に。相手が私だったら、どれだけ良かったでしょうね」

 ふっと小馬鹿にしたような笑いを挟んだ後、アメリアはルーリアから体を離し、カルロスににっこりと笑いかけ、その腕を掴む。

「私もカルロスお義兄様と仲良くなりたいわ。せっかくだし、一曲踊ってくださらない?」
「良いわね。虹の乙女が義妹にいると周りに認知されることは、カルロス公爵の利益に繋がりますし、鼻も高いでしょう」

 アメリアにクロエラも同調し、周りの視線を気にしながら囃し立てると、カルロスがアメリアの手を大きく振り払った。

「断る」
「……カ、カルロスお義兄様?」
「俺を気安く呼ぶな。虫唾が走る」

 カルロスにばっさりと拒絶され、口元を引き攣らせた後、アメリアは目に涙を浮かべて、芝居掛かたった様子でカルロスを責めた。

「ひ、ひどいです。そんな言い方。私はずっとカルロス様と親しくなりたいと思って……」

 言いながら再びアメリアが手を伸ばしてきたため、カルロスはさらりと避けて、ルーリアを自分の元へ引き寄せる。

「俺にも妻にも二度と触れるな」

 唖然とし固まってしまったアメリアを庇うように、クロエラが前に出た。

「少し言葉が過ぎるのでは? アメリアはバスカイル家の宝、虹の乙女です。精霊より祝福を受けたこの子は、ルーリアより何倍も価値もある」
「虹の乙女などとご立派に名乗っているくせに、まともに魔法薬も作れないのか? ルーリアの生成した物と比べると雲泥の差だ。この女よりルーリアの方が優れているし、俺が大切にしたいと思えるのもルーリアだけだ。結婚式も挙げる予定でいる。そっちこそひと言多い、余計なお世話だ」

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