凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
ルーリアよりも劣ると言われてしまえば、さすがのアメリアも表情を繕えなくなり、不満げにカルロスを睨みつける。
その視線を受け、カルロスが半笑いで言葉を返す。
「反論があるならぜひ聞かせてくれ。魔法薬の品質が突然地に落ちたのはどういう理由だ。子供の習作じゃあるまいし、あんな価値のないものを高額で売りつけるだなんて、良心を疑う」
「なっ、なにをおっしゃいますか。バスカイルの魔法薬は間違いなく一流品です! 我が一族を侮辱するような発言は許しません」
カルロスの発言に周りで様子を伺っていた貴族たちにざわめきが生まれる。「そんな物を売りつけようとしていたのか」といった声も聞こえてきて、すぐにクロエラは「違いますよ」と貴族たちに向かって話し掛ける。
「ルーリアのお陰でその地位を保てていただけだろう。俺はお前たちがルーリアにしてきた仕打ちもわかっている。恥を知れ」
厳しく言い放ったカルロスに、クロエラは唾を飛ばしながら怒鳴りつけた。
「アズターをそそのかしてルーリアを誘拐し、強引に婚姻を結んだ男が、なにを偉そうに。今ここでルーリアを返しなさい」
「嫌です、帰りません! 私はカルロス様の妻です。望んでそうなりました。だからこれからもカルロス様のおそばにいます」
ルーリアも我慢できずに言い返し、離れないという意思を表すようにカルロスのジャケットを掴んだ時、靴音を響かせながら女性が近づいてきた。
「いったいどうされまして? 王妃様が見ておりますよ」
割り込んできた女性に指摘されると、アメリアとクロエラは弾かれたように王妃へと顔を向ける。女性の言葉通り、王妃は厳しい面持ちでこちらを見つめていて、部が悪く感じたアメリアは悔しそうに唇を噛んだ。