凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
ルーリアに向かって「許さないから」と呟くと、くるりと踵を返し、歩き出した。
クロエラは周りへと引き攣った笑みを向け、「そうでしたわね。私としたことが失礼しました……でも本当になんでもありませんのよ」と言い訳のように告げると、アメリアを追いかけていく。
騒めきが収まらない中、割り込んできた女性はカルロスとルーリアの前まで進み出て、膝を折って挨拶をした。
「お兄様、ルーリアさん、お久しぶりです」
「カレン、久しぶりだな。お前も招待されていたんだな」
「ええ。お兄さまとルーリアさんがいらっしゃるからと、王妃様の計らいで」
カレンがちらりとルーリアへ目を向け、気まずそうに笑みを浮かべたため、すぐにルーリアも「お久しぶりです」と挨拶を返した。
そんな様子に、カルロスが思い出したようにぽつりと呟く。
「そう言えば、先日、言いたい放題だったそうだな」
「そのことに関しては本当に反省しているわ。ルーリアさん、ごめんなさい。お詫びは何が良いか考えているのだけれど、欲しいものはありまして?」
「お詫びだなんて、とんでもない。本当に気になさらないでください。私はなんとも思っていませんから」
「ルーリアさん、とっても優しい方ね。お兄様には勿体無い……それに比べて妹の方には、すっかり騙されてしまったわ」
カレンがチラリと横目で見れば、遠くにまだアメリアとクロエラの姿があり、ふたりともこちらを見ていた。アメリアに関しては、その視線がカルロスに向けられていることもあり、諦めきれない様にも見て取れて、カレンは呆れた顔をする。