凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「お兄様、ルーリアさんと踊ったらどう? さっき、あの子が話しているのを側で聞いてたんだけど、お兄様と踊りたくて仕方がないみたい」
ダンスと言われて、ルーリアは顔を青くし首を横に振った。
「私、踊れません。ダンスの作法もまったくわからなくて……今日を迎える前に、できる限り覚えておくべきでした。ごめんなさい」
「謝る必要はない。俺も今日は顔だけ出せれば良いと思っていたから、そこまで要求しなかったし」
すぐさまルーリアを庇ったカルロスの様子に、カレンは目を丸くし、そして嬉しそうに頷いた。
「なんだ?」
「お兄様にも温かな感情というものがあったのかと、ホッとしているだけです」
うふふと笑って返された言葉に、カルロスは真顔になる。カレンは兄の様子に笑みを深めつつ、提案する。
「でしたらお兄様、私と踊りません? あの子は私が妹だなんて思ってないでしょうし、同い年くらいの私と踊っているのを見たら、さぞかし悔しく思うでしょうね」
「いい性格だな」
「お兄様の妹ですもの」
カレンはまずルーリアの手を取って確認する。
「一曲の間だけ、お兄様を借りても?」
「はい。もちろんです」
「曲が終わったら、すぐに返しますね」