凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
そこでルーリアの手を離し、代わりのようにカルロスの手を取った。「お兄様と踊るなんて、少し気持ち悪いですね」と呟き、カルロスに「それは俺の台詞だ」とじろりと睨みつられる。
そんな軽口を叩きながらも、楽師たちの演奏に合わせて、楽しそうに踊り始めた。
容姿の整ったふたりが息の合った様子で踊る姿は目を引くものがあり、否が応でも人々の注目を集めた。
カレンの予想通り、それほど間を置く事なく、アメリアは悔しそうに顔を歪めて、クロエラと共に会場から完全に姿を消し、ふたりの姿が無くなったことにルーリアはホッと息を吐く。
少しばかり肩の力を抜いて、ルーリアはカルロスとカレンが踊る様子を見つめた。
(……私も、しっかり覚えておけば良かった。いつ求められても大丈夫なように、次は必ず)
ぼんやりと頭の中でカルロスと踊る自分の姿を想像し、ルーリアはハッと目を大きく見開く。なんだか気恥ずかしくなってしまいそわそわしていると、再びあの窓が視線に止まった。
(さすがにこれだけの人目がある中で、茂みに入って探すわけにはいかないわよね……王妃様にひと言お願いしたら、もしかしたら探していただけるかもしれない)
もう一度王妃と話せないだろうかと考えたその時、すぐ隣から声を掛けられた。
「何か飲み物をお取りしましょうか?」
「いえ。大丈夫です……あ、あなたは確か……」
「覚えてくださっていたのですね。ルイス・ギードリッヒです」