凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
名乗りを受けて、王妃の誕生日パーティーで言葉を交わしたあの男性だと、ルーリアは完全に思い出す。あの時、冷たくあしらってしまったこともあり、改めて気まずさでいっぱいになったルーリアへと、ルイスは不思議そうに問いかける。
「虹の乙女となにかあったのですか? 公爵様が激怒しているから、アメリアが怖がっている様子だったけど」
「いえ。なんでもありません」
詳しいことをペラペラと話すつもりはなく、ルーリアはクロエラの真似をしながらゆるりと首を振る。すると、ルイスは「そうですか」と素っ気なく呟いた後、ルーリアの手をそっと掴み取った。
「それにしても悔しいな。俺もあなたに結婚を申し込んだというのに、断りの返事と共にカルロスとの結婚の話も入ってきたから結構傷ついたよ……出来れば手に入れたかった。このまま奪い去ったら、あの男はどんな顔をするだろうか」
ルーリアは咄嗟に手を引こうとするが、それを阻止するようにルイスの力が込められた。
「別になんとも思わないか。君たちは別に恋慕った末の結婚って訳じゃないんだろう?」
容赦なく突きつけられた言葉にルーリアの心がズキリと痛んだ。
(確かにそうだけど、私にとってカルロス様は……)
ルーリアは息を吸い込み、ルイスを真っ直ぐ見つめて、はっきりと告げる。
「私はカルロス様を慕っております。あなたが思うよりもずっと昔から、そして昔よりもっと。たとえ囚われても逃げ出して、カルロス様の元へ絶対に戻ってみせます」
「……だったら鎖で繋いでしまおうか」