凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
ルイスは冷たくそう言い放った後、呆れたように笑った。
彼の口から飛び出した鎖という言葉が、ルーリアの脳裏に黒精霊の姿を思い起こさせる。足から短い鎖を垂れ下げている、度々目にするあの黒精霊だ。
「それは魔法石ですよね。すごいな」
動揺で瞳を揺らした時、ルイスが驚いた様子でネックレスへと手を伸ばしてきたため、ルーリアは大きく後ずさる。やはり手を離してくれないことに恐怖を覚えつつ、嫌悪感を一気に膨らませながら、声を震わせ確認した。
「そう言えば、前も私の髪飾りの魔法石に触れましたよね……何かしましたか?」
髪飾りの魔法石は、闇の魔力を感じ取ったカルロスによって壊された。
その問題の髪飾りに触れたのは魔法石に力を込めたディベルと、ルーリアの髪に着けた侍女、そして目の前にいるルイスだ。面子を考えると、彼である可能性が高いような気がして、ルーリアが身構えると、ルイスがニヤリと笑った。
「さあ。なんのことだろう」
その瞬間、ルイスはルーリアを手荒に引き寄せた。彼の目の奥でゆらりと黒い闇が揺らめいたことに気づいてしまえば、ルーリアの中で息を顰めていた闇の魔力が騒めき出すのを感じ、背筋が震える。
手を振り払って逃げ出さなくては大変なことになると分かるのに、縫い付けられたように足が動かない。心が恐怖で支配されかけたその瞬間、横から伸ばされた手がルイスの手を掴み上げた。