凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「ちょうどいいタイミングでしたね」
そしてヴァイオレットもカルロスへ笑いかけてから、ルーリアへに視線を移動させた。同時に、ルーリアが警戒するように体を強張らせたのをカルロスは感じ取る。
(無理もない。俺も少し驚いたし……この女性精霊、似過ぎだ)
窮地を救ってくれた女性の精霊は、これまで何度かカルロスやルーリアの前に姿を現している、足から鎖をぶら下げたあの黒精霊に似ているのだ。
(この二体はいったいなんなんだ)
それを探るようにカルロスがセレットへちらりと目を向けた時、ヴァイオレットがルーリアに話しかけた。
「お久しぶりね、ルーリア」
「なぜ私の名前を」
ヴァイオレットはルーリアに向かってにっこり微笑んだまま地面へと降り、そのままぱたりと倒れた。
ヴァイオレットのおかげで闇の力を押さえられたルーリアは、ようやく落ち着きを取り戻す。ひとまずカルロスにヴァイオレットを任せて、ルーリアはレイモンドと共に調合室でエリンの怪我の治療にあたる。
「エリンさん、ごめんなさい」
「奥様は何も悪くありませんよ。お気になさらないでください」
幸いにもエリンにまとわりついていた黒い影も、ヴァイオレットによって浄化されていたため軽傷で済んだ。
「小さなお客様もいらっしゃいますし、掃除道具をいろいろ出しっぱなしにしたままなので、片付けてきますね。そうだわ、お茶もお出ししなくちゃ!」