凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「そしてなぜ私がルーリアの名前を知っていたか。それは、私が最初にルーリアへ祝福を授けているからよ」
「私に祝福を下さったというのは、あなただったのですね」
驚いて目を丸くしたルーリアに、ヴァイオレットはにこりと笑い返すと、記憶を掘り起こすように宙を見つめた。
「ルーリアがジェナのお腹の中にいる時よ。あの頃は私も体力があったし、人間の生活の様子を眺めるのが好きで、この街によく遊びに来ていたの。勝手に行くものだから周りには怒られたけど、楽しくて止められなかったわ」
そこですかさず「お転婆姫として名を馳せておりましたから」とステイクが付け加えてきたため、セレットが思わず吹き出す。ヴァイオレットは冷ややかにステイクを見つつも、何も聞こえなかったかのように続ける。
「そこで偶然ジェナを見かけて、お腹に宿った魂が強い魔力を秘めているのを感じたの。その子なら、私の力を分け与えられるって直感したから、まだ生まれてもいなかったけれど祝福を授けたの」
カルロスは「すみません、いいですか?」と断りを入れつつ、疑問をぶつける。
「ルーリアの妹も、精霊から祝福を受けたとされていますが、それもあなたが?」
「いいえ違うわ。私はルーリアの魔力に希望を見い出し、託しただけで、その家族や一族に恩義があるわけじゃないもの……何か知っている?」
「ええ把握しております。バスカイル家ととある精霊一族との間に昔、深い絆が結ばれ、それ以来、数年に一度祝福を授けてきたようなのですが、ここ最近は関係も薄れ、精霊側も代替わりをし、新しい当主はこれで最後だとして祝福を贈ったと聞いています」
ヴァイオレットからステイクへと話の主導権が移り、返された事実に、カルロスはわずかに首を傾げる。