凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「我々人間は、祝福を授かることで、高い能力を得ることができると認識しています。それで合っていますか?」
「はい。大体はその認識で合っています」
「こう言ってはなんだが、妹の作った魔法薬はそれなりでしかなかった。精霊から祝福を受けたというのは嘘ではないかと疑っていたけど本当だったか」
そこでステイクはおかしそうに笑いを挟んで、淡々と見解を述べた。
「授ける程度は精霊側の気持ち次第でどうとでもなります。新当主は今のバスカイル家を良く思ってなく、軽く済ませたのでは? 祝福を授けるという行為は自分の命を糧に行うものですから、相手に価値を感じられなければそうなります」
「命を糧に……ヴァイオレットさんが倒れてしまったのも、私への祝福の影響が?」
「いいえ。それはまったく関係ないわ」
倒れた姿も目の当たりにしているため、思わずルーリアはヴァイオレットへと戸惑いの眼差しを向ける。ヴァイオレットが明るく否定したところで、エリンが人数分のカップとティーポット、そして焼き菓子をワゴンに乗せてやって来た。
エリンがカップに紅茶を注ぐ音に耳を傾けながら、ステイクは先ほどの続きを話し出す。
「精霊は四、五百年は生きるため、人間と比べれば長寿でありますが、だからと言って、簡単に命を差し出せるはずがありません。ほとんどの精霊は祝福など行いませんが、気に入れば別だ。能力に秀でている人間は必ず祝福を受けていますよ。カルロス君も例外じゃない」
「俺も? ……まさかセレット? 聞いていないぞ。いったいいつ」
ステイクがちらりとセレットを見たのに気づいて、カルロスは驚きを重ね、誤魔化しを許さないかのように、じっとセレットを見つめる。セレットは小さく息を吐いてから、疑問に答えた。