凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜

「ご両親が亡くなる前だ。父親に引き続き、同様の力を授けることにした。お前は教えなくてもすぐに魔力を見切り、それを断つまでできるようになった。とてつもない強者となるだろうと父親と笑っていたら……あんなことになってしまった」
「……そうだったのか。両親を亡くした後、あの年齢でも騎士団に入れてもらえたことは俺にとって大きかった。セレットのおかげだ。ありがとう」

 カルロスはしばし言葉を失った後、セレットに感謝の気持ちを伝えるように頭を下げた。その姿にステイクは満足そうに微笑んで、自慢げに補足する。

「セレット様は私が心の底から尊敬している方です。名誉騎士の称号を得ているだけでなく、魔力の核を斬ることで、相手が魔法を使えなくすることができる特殊能力をお持ちのため、精霊の世界では最上級の位に名前を連ねていらっしゃいます」

 続けて、ステイクは恭しくヴァイオレットへと手を差し向けた。

「そして、ヴァイオレット様もまた最上級の位を授かっていらっしゃいます」
「ということは、あなたも何か特殊能力を持っているということですか?」
「ええ。私は闇の魔力を祓ったり、弱めたりする力があるの。私が黒精霊になってしまった精霊たちを救うように、ルーリアにも闇の魔力に蝕まれた者たちを救う存在になってもらうはずだった」

 カルロスから眼差しでも確認され、ヴァイオレットが自らの能力を説明する。そして、求めるようにルーリアを見つめた。

「でももちろん、闇の魔力を持つ人間たちは自分たちを脅かす能力を嫌がり、排除しようとする」
「それの対抗処置として、黒精霊がルーリアに祝福を授けたということか」
「黒精霊は悪くないわ。ただ良いように利用されているだけ。悪いのは闇の魔力を操る人間の方よ」

 ステイクのため息混じりの言葉に続いて、カルロスが憶測を述べると、ヴァイオレットがムキになって発言する。カルロスは少しばかり呆気に取られつつも、「どういうことですか?」と問いかけた。

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