凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜

 頭を下げて謝罪するヴァイオレットにルーリアは慌てて首を振る。そして頭に浮かんできた伯父夫婦とアメリアの顔もかき消すように言葉を途切らせた後、ぽつりぽつりと語り出す。

「あの過去があるから、こうして私はカルロス様と共にいられるのです。私は今、とても幸せです」

 ルーリアはその場にいるみんなに幸せを分け与えるように微笑みかけ、最後に穏やかにカルロスを見つめる。精霊たちもつられるように微笑みを浮かべ、レイモンドとエリンはわずかに目に涙を滲ませる。そしてカルロスは目を見張った後、そっとルーリアを引き寄せ、額に口付けた。
 驚いて顔を赤らめたルーリアを見て、我に返ったカルロスが気恥ずかしそうに顔を逸らしたところで、ばたんと玄関の扉が開けられる音がして、足音を響かせながら騎士団員たちが居間に飛び込んできた。

「カルロス、大丈夫か! 黒精霊は……って、どうなっている」

 先頭にいたエリオットが平和な様子にポカンとすると、カルロスは胸に手を当てて、時は来たとばかりにヴァイオレットに騎士団流の敬礼をする。

「ちょうど心強い仲間が来ました。すぐに動き出します」
「お願いします」

 それに礼儀を返すように、ヴァイオレットとステイクも揃って丁寧な挨拶を返した。

 + + +

 着慣れた騎士団の制服に着替えたカルロスは愛馬にまたがり、エリオットや騎士団員たちと共にアーシアンの街を疾走する。
 そして、馬を走らせながら庭園や屋敷でのことをエリオットに話し、ルイス・ギードリッヒを始めとするその一族が闇の魔力に通じている可能性が高いとし捕縛を求めた。そして、捕えられている黒精霊の奪還ももちろん希望する。

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