凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜

 ルイス・ギードリッヒが家族と暮らしている屋敷に向かって一向は進み、屋敷を取り囲む塀が見えたところで馬を止まらせ、カルロスやエリオットを始め突入組は馬を降りた。

「どうやって中に入る?」

 ルーリアが馬から降りるのを手伝いながら、カルロスはエリオットの問いかけに答えた。

「面倒だ。そのまま玄関から正面突破しましょう」

 本気かと疑うようにエリオットが顔を歪める一方で、ルーリアは「はい!」と真剣な様子で返事をする。カルロスは緊張が抜けたように微笑んで、そっとルーリアの頭に手を乗せる。

「俺の見えるところにいろ」
「頑張ります」

 ルーリアへ向けていた穏やかな眼差しから一変させるように、カルロスはニヤニヤしているエリオットを冷めた目でじろりと見て、「さっさと行きますよ」と声をかけた。
 騎士団員のふたりが勢いよく門を開け放つと、躊躇うことなくカルロスたちは敷地の中へと足を踏み入れ、扉を蹴り飛ばし屋敷の中へと突入する。
 気配を探るように玄関ホールを進んでいくが、何ひとつ察知できない。カルロスはエリオットと顔を見合わせた後、手近の扉からどんどん開けて部屋の中を確認し始めた。
 事前情報では、ギードリッヒ家は祖父母に父母、ルイスとその兄の六人家族。侍女は十五人ほどいるとされていた。しかし、一階二階の部屋も、居間も炊事場も、風呂場に物置きまですべて確認したが、そのどこにも誰ひとり見つけられなかった。
 廊下で落ち合ったカルロスとエリオットは、揃って苦い顔をする。

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