凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「カルロス様やヴァイオレット様……それだけじゃない。セレットさんだって、私の両親だってそう。たくさんの人々を悲しませてきた彼らを、私も許せません。ここで食い止めたいのです。これ以上悲劇を生み出さないためにも」
真剣なルーリアの面持ちと言葉に、カルロスは息をのむ。そして渋い顔をしつつ前髪を乱雑にかきあげた後、自分も覚悟を決めたように返事をする。
「わかった。ルーリア、やってみよう」
カルロスからも認めてもらえて、ルーリアは屋敷に入る時よりも顔を強張らせながら「頑張ります」と声を張り上げた。
屋敷から引き上げる途中でエリオットはカルロスの側に近づき、こそっと囁きかける。
「すごいな、彼女。一気に見違えた」
「当然です。俺の嫁ですから」
それにカルロスは得意げに微笑んでみせた。
+ + +
広くて、人払いできる場所をと考え、カルロスの屋敷の近くにある庭園に移動することになった。
自分で言い出したことではあるが、カルロスとの思い出の場所で大役を果たさなければならないと思えば、ルーリアは緊張を募らせ、カルロスにしがみつく手にも力がこもる。
馬を走らせ、噴水のある広場を通り抜けようとしたその瞬間、じゃらりと鎖の音を耳にしたような気がして、思わず声をかけた。
「カルロス様、ちょっとだけ止まっていただけますか?」
「どうした?」
「鎖の音が聞こえたように思えたのですが……勘違いみたいです。ごめんなさい」