凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「あなたが先ほど言ったのはこの子のことではないかね。嫁には行っても、ルーリアは我がバスカイル家の大切な一員であることに変わりない。ジークローヴ家と繋がったこのご縁も大事にしなければな」
笑い声まで付け加えてから、ディベルはカルロスのすぐそばまで歩み寄り、今度は内緒話でもするかのように小声で話し掛けた。
「今からジークローヴ邸へ行こうと思っていたところだ」
「何か用か?」
「ルーリアが生成した魔法薬で稼いでいるだろ? 少しばかり援助してもらおうと思って」
一気にカルロスが表情を険しくさせるが、ディベルは構うことなく続ける。
「騎士団に売り込んだのお前だろう? おかげでこっちは商売が上がったりだ……元々はバスカイル家で培ってきた技で稼いでいるのだから、俺にも要求する権利はあるはずだ」
そこでまた一段と声を低くし、ディベルは口元に笑みすら浮かべる。
「ルーリア自身のことは本人からすでに聞いているのだろう? それでも公表せず、我がバスカイル家の名誉を傷つけなかったことは感謝している。ルーリアがいまだ闇の力にのまれていないのはさすがとしか言いようがない」
ディベルは称賛するようにカルロスの肩をポンポンと叩いた後、ゆっくりと歩き出す。
「援助と、そうだな、ルーリアの生成したものをこちらにも流してもらおうか。それで、勝手に連れ出し婚姻までしたことは目をつぶるとしよう」