凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「カルロス様! お会いしたかったです!」
突き進んできたアメリアはルーリアなど視界に入っていない様子で足早に目の前を通り、男性へと飛びつくように抱きついた。その光景を目の当たりにしたルーリアは唖然とする。
「私です。アメリア・バスカイルです。先日は困っていたところを助けていただき、ありがとうございました!」
「……ああ、あの時の。仕事なので礼には及びません。それよりも、後日回復薬を私の部隊に、しかもあのように上質なものを数多く贈ってくださり、改めてお礼申し上げます」
回復薬と聞き、もしかして自分が作ったものかとルーリアは反応する。しかし、上質なものと続いたことで、いつも低レベルな魔法薬しか作れないとクロエらから罵倒されているルーリアは、自分の手によるものではないと理解し俯く。
カルロスの視線がルーリアに向けられたため、アメリアは気を引くように彼の腕を掴む手に力を込めた。
「あれらは私が作りました。カルロス様のお役に立てたのなら幸いですわ。こうして再会できたのも強い縁があってのことですもの。ねえカルロス様、私をダンスに誘ってくださらない?」
「すみませんが、今日私は招待客ではなく、騎士団のひとりとしてここにいますので」
アメリアは甘えた声で擦り寄ろうとしたが、彼は表情ひとつ変えずに素っ気なく言葉を返し、さりげなく身を引いてアメリアから距離を置いた。