凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜

 ディベル、そしてクロエラに向けて、ルーリアはこれまでずっと言われ続けてきた言葉を返した。
 特に毎日のように貶めていたクロエラはほんの一瞬怯むが、すぐにルーリアへと愛想よく笑いかける。

「嫌だわ。本気にしていたの? 冗談に決まっているじゃない。アメリアにも作ってもらっているけれど、ルーリアのようにいかないのよ。だからこれまでと同じ量を……いえ、もう少し少なくても良いけど、私たちのために生成をお願いするわね」

 笑顔のクロエラを、アメリアは唖然とした顔で見つめる。そしてルーリアも、これまで我慢してきた辛さが一気に蘇り、悔しさとなって心の中で膨らんでいく。

(私もこの場で、過去を断ち切りたい)

 カルロスの言葉に背中を押され、ルーリアは過去の自分と決別すべく、ディベルとクロエラに決意を告げる。

「もう命令には従いません。隠すことももうやめます」

 そこでルーリアは息を吸い込み、大きな声で街の人々へと話しかけた。

「皆さん、聞いてください。私はバスカイル家の出身です……そして生まれた時、黒精霊から祝福を授かりました」
「おい! 待て、ルーリア!」
「私の中には闇の魔力が根付いています。光の魔力と闇の魔力、両方を有しています。そんな私が生成した魔法薬でも、これからも使っていただけますか?」

 闇の魔力は有しているだけで忌み嫌われる。そのため、ルーリアに問いかけられた老婆は表情を強張らせ、周囲からもざわめきが生じ出す。

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