凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
ディベルは思わず顔を背けるが、エリオットは容赦なく話し続ける。
「まだありますよ。この魔法薬の取り引きの公正さを疑う声が次々と寄せられていまして、あなたがたが最近売りに出した魔法薬の価値が金額と見合っているかどうかを、魔力量を測定し調べさせていただきます。虹の乙女とやらがどの程度の能力か楽しみだな」
エリオットの最後のひと言にアメリアの目に黒い影が生まれる。
「なぜ私を苦しめるの。私は虹の乙女。みんなから敬われる存在のはずなのに」
荒々しく思いを吐き捨ててから、アメリアは両腕で自分の体を抱き締め、苦しそうに顔を歪めた。
「アメリア、だめ。力を抑えて!」
ルーリアはたまらず声を掛けたが、しかし、アメリアの耳には届いておらず、その体からゆらりと黒い影が立ちのぼる。
その力に刺激されたかのように、一体、また一体と、黒精霊が広場に姿を現す。そしてどこからともなく現れた穢れ者に、人々から悲鳴が上がった。
「バスカイルは光の魔力で有名だろ! 虹の乙女だと言うなら、こいつらをどうにかしてくれ!」
誰かがそんな言葉を投げつけてくるが、そこでアメリアの体が大きな影に飲み込まれ、やがて目も黒く染まっていく。
「穢れ者たちを取り押さえろ!」