凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
(みんな、元に戻って)
廊下で目にした光景を頭の中でしっかりと思い描けば、ルーリアの中で光の魔力が膨れ上がり、一気に光を放出し広場を浄化する。
力を増幅させたことで闇の魔力も反応し膨らみ、ルーリアもアメリアのように体から影が滲み出てくる。大きく息を吐き、額から汗を滴り落とすルーリアの背にカルロスが手を添えると、徐々にルーリアの状態が安定していった。
「大丈夫か」
「はいなんとか。でもそんなに戻せてあげられませんでした」
「仕方ない。魔力を抑えながらでは、ヴァイオレットのようにいかないはずだ」
黒精霊の何体かは闇の魔力を払い除け、元の姿へと戻すことはできた。しかし他の多くは闇の力を弱まらせた程度だ。
元に戻れた精霊たちが慌てふためきながら逃げていく様子を見つめていると、ジャラリと鎖の音が響き、ルーリアはハッと息をのむ。
「カルロス様」
「ああ。捕まえるぞ」
噴水のそばに、ようやくエメラルドが姿を現した。エリオットとも視線で意思疎通を図るカルロスと共に、ルーリアは噴水へと向かって歩き出す。
しかし、三歩進んだところで、黒い外套に目元を仮面で隠した三人の男が行く手を遮るように現れた。
真ん中の男が手をかざし、ルーリアたちに向かって蛇に似た影を飛ばしてくる。すぐさま、カルロスが剣を抜き、難なく影を切り裂いた。
両脇の男たちも同様に闇の魔力を発動させ、それを受けた穢れ者が凶暴性を増していく。