凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「悪趣味だな」
面白くなさそうにカルロスが呟くと、ルイスは苛立ちを顕にした後、何かに気づいてニヤリと笑った。
「……良いのか。愛しい彼女が死ぬぞ」
ハッとして振り返ったカルロスの目に、クロエラに掴み上げられているルーリアの姿が映り込む。
慌てて駆け寄ろうとしたカルロスに、ルーリアは必死に声を振り絞った。
「大丈夫です。私も一緒に戦います……カルロス様は……エメラルド様を助けて!」
言い終えると同時に、ルーリアは光の魔力で闇の魔力に染まったクロエラを押さえ込もうとするが、すぐにクロエラが嫌がるようにしてルーリアから距離を置いた。
ルーリアの本気を受け取り、カルロスはエメラルドの元へと駆けて行く。噴水のそばでぐったりと横たわっているエメラルドは蠢く黒い影で覆われているが、カルロスは躊躇いもなく、抱き上げようと手を伸ばす。
しかし、触れるその寸前で、後ろから迫ってきた刃を避けるように、機敏に身を翻す。
「なんだこの精霊が欲しいのか。それは無理だな。こいつの力を使わないと一度に大勢の手下を動かせない」
エメラルドを乱暴に掴み上げた兄、トイロスは自ら仮面を外し、投げ捨てた。
「でもこの際仕方ない。お前が動けば殺す……そこのお前もだ。動くな!」
そして、トイロスはエメラルドの首元に剣を突きつけた。エリオットはすぐに状況を判断し、父親から距離を置く。
兄は父と弟に目配せした後、その場から逃げるようにゆっくりと後退したが、大きく呻き声をあげて、右肩を抑えてその場にうずくまった。