凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
放り出されたエメラルドはステイクが支えていて、兄の体の上には短剣を持ったセレットがいた。
「精霊!? 兄貴に何をした」
ルイスが声を震わせながらセレットに問いかけると、セレットは冷たい眼差しでルイスを見下ろす。
「魔力の核を壊した。こやつはもう魔法を使えない……カルロス、何をぼやぼやしている。さっさとやってしまえ」
唖然としているルイスからカルロスへとセレットは視線を移動させ、促すように顎をしゃくった。
咄嗟に後ずさりし、ルイスは逃げ出そうとするが、素早くカルロスに先回りされ、足を凍らされると同時に、その場に倒される。
「闇の魔力を使う者は誰ひとり逃がさない」
続けて、ルイスの肘も手も凍らせ動けなくすると、カルロスは手のひらに存在する魔力の核を見極め、一気に剣を突き立てた。
騎士団員たちがギードリッヒ家の三人を捕縛するべく一斉に動き始める横で、ステイクは支えるようにしてエメラルドの体を起こすと、回復薬を飲ませた。
「エメラルド様、しっかりしてください」
エメラルドを包んでいた影が少しずつ引いていくと、程なくしてエメラルドの目が開けられる。そして、ルーリアに向かって手を伸ばして何かを唱え、気絶した。
その瞬間、ルーリアはハッとし、エメラルドの方を振り返る。胸に手を当てて、自分の中から闇の魔力が消え去ったのを感じ取ると、目の前にヴァイオレットが現れた。
「ルーリア!」
「私、闇の魔力が」
「そうよ。エメラルドが祝福を解除してくれたわ。一掃するわよ!」