凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜

「カルロス部隊長、我々、王妃様へのご挨拶がまだですので、これにて失礼します」

 アズターがカルロスに告げると同時に、ディベルがルーリアの腕を掴んで歩き出す。
「ちょっと、お父様!」と納得いっていないアメリアの叫びを背後に聞きつつ、ルーリアはよろめきながらも伯父に従って歩き出した。


「まったく、よりによってあいつと接触するなんて。気付かれでもしたらどうする」
「すみません」

 少しばかり気落ちしながら、ルーリアは伯父の背中に向かって謝罪の言葉を紡ぐ。
 王妃への謁見の列ができている階段のところまで足を進め、最後尾に並んだところでようやくディベルが腕を離し、ルーリアは小さく息を吐いた。
 すぐにアズターとアメリアも追い付き、アメリアは当然のようにルーリアを追い越して、伯父の隣を陣取った。

「もっとカルロス様とお話ししたかったわ」
「アメリア、お前はシャルード王子に顔を覚えてもらい、親しくなるのが最優先だ」

 やれやれと言った様子でディベルに釘を刺されるものの、アメリアはそれをさらりと聞き流し、やって来た騎士団員と何やら言葉を交わしているカルロスを熱い視線で見つめる。
 不意にカルロスが自分を見つめ返して来た気がしてアメリアは一気に顔を綻ばせたが、やがて彼の視線は隣にいるルーリアに向けられているのに気づき、膨れっ面となる。

< 23 / 229 >

この作品をシェア

pagetop