凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「お姉様はカルロス様と一体何を話していたのよ。色目でも使ったわけ? 小賢しいわね」
「……大したことは話していません」
ルーリアが必死に首を振って否定するのに続いて、ディベルもカルロスがこちらを気にしているのを見て取り、小さく舌打ちをした。
「気付かれたか?」
「どうかしら。私には彼がちょっとだけ気にはしていても、警戒しているようには見えなかったけど」
「とにかく予定通り、王妃様への挨拶が済んだら、さっさと会場を後にしろ」
ディベルのひと言でルーリアは怖くなり、カルロスの方を見れずに、視線を俯かせる。一方で、アズターもカルロスの眼差しから刺々しさを感じられず、アメリアの意見に同意するように小さく頷いてから、ディベルに対して「わかっています」と固い声音で返事をした。
「そうよ。早くここから居なくなってちょうだい。そうすれば、私がどれだけカルロス様とお話ししたって許されるはだもの」
腹いせのようにアメリアからじろりと睨みつけられ、ルーリアは居た堪れないように体を小さくさせた。
ゆっくりと列が進んでいき、やがてルーリアたちの挨拶の番がやってくる。
王妃の前にアメリアとルーリアが並んで膝をついて頭を垂れると、ふたりの両脇からディベルとアズターが揃ってお辞儀をする。
「王妃様、本日はお招きいただきありがとうございます」
ディベルが胸元に手を添えながら恭しく述べると、王妃は嬉しそうに微笑んでルーリアとアメリアに声を掛けた。