凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「アメリア、あなたは虹の乙女としてのバスカイル家を背負って立つことになったと聞いているわ」
ルーリアへの言葉を興味なさそうに聞き流していたアメリアだったが、優しく名前を呼びかけられた途端、目を輝かせて王妃へと顔を向けた。
「あなたが作る様々な魔法薬は高品質でとても評判が高いと聞いています。いつ何時でも、どれだけ量が多くても、しっかり求めに応じてくれるからありがたいとも。アメリアだけでなく、ルーリアも一緒に作っているのかしら?」
「いいえ、王妃様、今魔法薬を作っているのは私ひとりです」
ルーリアが口を開くよりも早く、アメリアが胸を張って答えた。
「まあそうなのね。あれだけの量をひとりでだなんて、アメリアの魔力量の多さには驚かされます。さすがです」
王妃からの褒め言葉にアメリアは笑みを深めて、「恐れ入ります」と誇らしげに返事をした。
躊躇うことなく飛び出したアメリアの言葉にルーリアはしばし茫然とする。そして、腑に落ちない気持ちをぐっと堪えるようにをわずかに唇を噛んで俯く。
王妃の落ち着いた声にアメリアが明るく弾む声で返し、時折ディベルとアズターが口を挟んだ。もちろんその会話にルーリアは混ざることなく、ただ黙って聞いていると、王妃の後ろに控えていた執事が「そろそろ」と声をかけた。