凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
ディベルがアメリアを伴って歩き出すと、ルーリアはこの場への未練を捨て去るように小さくため息をついて、伯父の言いつけを守るように大広間の出入り口に向かって一歩踏み出した。
「ルーリア、待ちなさい」
言葉と共にアズターに腕を掴まれ、ルーリアは驚いた顔で肩越しに振り返る。
神妙な面持ちのアズターに、ルーリアはどうしたのかと疑問を抱くが、その口は一向に開かないため、ただ見つめ合うだけで時間が流れていく。
「お、お父様、すぐに帰った方が良いかと」
いつまでもこの場に留まっているのをディベルに見られたら、自分たちは間違いなく怒られるだろう。怒られるだけならまだ耐えられるが、食事抜きの生活を数日強いられることになるのだけは避けたい。
ちらちらとディベルの様子を気にしているルーリアに気づいて、ようやくアズターが引き留めた理由を口にした。
「もちろん帰る……がしかし、その前に王妃さまが勧めてくださったものくらい食べておいた方が良いと思って」
「……グラッツのパイとジュース」
幹の太いグラッツの木に、ルーリアの顔の大きさくらいある真ん丸の黄色くて甘酸っぱい木の実がなる。それを使ったパイとジュースを食べていくようにと王妃から言われたのをルーリアは改めて思い出すが、それでも躊躇いは完全に消え去らない。
「ルーリア、待ちなさい」
言葉と共にアズターに腕を掴まれ、ルーリアは驚いた顔で肩越しに振り返る。
神妙な面持ちのアズターに、ルーリアはどうしたのかと疑問を抱くが、その口は一向に開かないため、ただ見つめ合うだけで時間が流れていく。
「お、お父様、すぐに帰った方が良いかと」
いつまでもこの場に留まっているのをディベルに見られたら、自分たちは間違いなく怒られるだろう。怒られるだけならまだ耐えられるが、食事抜きの生活を数日強いられることになるのだけは避けたい。
ちらちらとディベルの様子を気にしているルーリアに気づいて、ようやくアズターが引き留めた理由を口にした。
「もちろん帰る……がしかし、その前に王妃さまが勧めてくださったものくらい食べておいた方が良いと思って」
「……グラッツのパイとジュース」
幹の太いグラッツの木に、ルーリアの顔の大きさくらいある真ん丸の黄色くて甘酸っぱい木の実がなる。それを使ったパイとジュースを食べていくようにと王妃から言われたのをルーリアは改めて思い出すが、それでも躊躇いは完全に消え去らない。