凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
 明るい色のドレスを身に纏う人々が多い中、黒色の騎士団員の制服は目立つ。それを目印に探していくと、背が高いことも手伝って比較的苦労することなく彼の姿を探し出すことができた。
 すらりした立ち姿は遠目からでもとても凛々しく、黒の騎士団服もよく似合っている。そんな彼の傍らには目を輝かせて喋りかけるアメリアの姿があり、周りにいる令嬢たちも頬を染めてカルロスを見つめている。
 そして、アメリアの少し後方にはディベルがいて、痺れを切らしたような顔から「死神公爵ではなく王子の元へ早く行くべきなのに」といった心の声が聞こえてくるようだ。

(でもどうして、カルロス様は死神公爵だなんて言われているのかしら……見ず知らずの私を助けてくれたほど優しくて素敵な人なのに)

 アメリアに対してニコリとも笑い返さないことから、冷たい人に見えなくもないが、それだけで死神公爵と呼ばれてしまっているなら不憫でならない。
 きっと何か理不尽な理由でそう呼ばれてしまっているのだろうと頭の中で結論付けてから、ルーリアは自分の心にしっかりと留めるかのように、「カルロス様」と小さく呟いた。
 するとその瞬間、カルロスの視線が何気なくルーリアに向けられ、しっかりと目が合った。もちろん偶然だとわかっていても、まるで自分の声が彼に届いてしまったかのような気持ちにさせられ、ルーリアは気恥ずかしさからすぐさま顔をそらす。
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