凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
 最後の贈り物と断言されてしまい、ルーリアは目を見開き、アメリアは含み笑いを浮かべつつ「そうよね」と嬉しそうに言葉を返した。

「あとで魔法薬を取りに来させます。その時、新しい瓶も届けさせるわ。今日の分よ。今回もあまり出来が良くないわ。もっと頑張ってちょうだい」

 それだけ言って、クロエラは用は済んだとばかりに小屋を出て行こうとするが、外に出る前に足を止めて、ルーリアへと振り返った。

「ああそれから、少しずつ小屋の中を片付けておくように。近いうちにあなたの生活の場を変えるから」

 詳しい説明はせずにクロエラは再び歩き出し、アメリアはルーリアに対してニヤリと笑ってから、ドレスを抱え持ったままその場を後にした。

(私はどこに連れて行かれるのだろう)

 先ほどクロエラが発した「最後の贈り物」という言葉が、まるで両親との永遠の別れを意味していたかのように感じ、ルーリアの心に重苦しく圧し掛かってくる。
 そして子供の頃の、ディベルとクロエラがこっそりと交わしていた会話を聞いて恐怖に震えた記憶が蘇ると、吐き気を覚えて口元を抑えた。
 言いようのない不安に押しつぶされそうになりながら、しばらくその場に立ち尽くしていた。

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