凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜

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 ルーリアが悪夢と不安に苛まれながら一週間が過ぎた。
 アーシアン城の、王妃の誕生日パーティーが行われた大広間で、騎士団の黒の制服に身を包んだカルロスと、銀色の短髪に黒色の瞳を持ち、騎士団長を務めているエリオット・コーニッシュのふたりが、国王の前に片膝を付いて首を垂れていた。

「カルロス・ジークローヴ第五部隊長。特に君の活躍はアリスティアから聞いておる。まずは、末娘を黒精霊から守ってくれたことに感謝する」
「恐れ入ります」

 国王の言葉を聞きながら、カルロスは顔をあげずに真摯に言葉を返す。
 五日前、カルロスは彼が率いている第五部隊の隊員一名と、エリオットの三人で、国王の末娘であるアリスティア王女の護衛の任に就いた。
 アリスティア王女は浪費家で知られていて、その日もアーシアンから山ひとつ超えた先にある町、ホーズビーでの買い物が目的だった。
 どんどん増えていく荷物にげんなりする気持ちを、時折ため息に変えつつも、カルロスは周囲に気を配り続け任務に当たった。

 問題は帰り道に起こった。アーシアンへと戻る山の中で、五匹の黒精霊に襲われたのだ。
 普通なら混乱を招くところだが、場数を踏んでいる騎士団長と闇の魔力を難なく切り裂けるカルロスがいるため、あっという間に黒精霊は沈められることとなった。
 その後は何事も起きず、アーシアン城へと帰城し、カルロスの任務も無事終了となったのだが……。

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