凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「アリスティアはお前の話ばかりする。いたく気に入った様子だ」
国王から機嫌よく打ち明けられた言葉に、カルロスが下を向いたまま、げんなりとした顔をしたため、それを横からこっそり盗み見たエリオットが思わず苦笑いを浮かべる。
実は帰城後、騎士団の詰め所へ戻ろうとするカルロスを、アリスティア王女は引き留め、「今度、お茶に付き合って下さる?」と話しかけた。それにカルロスは、顔色ひとつ変えずに「任務であれば」と答えたのだった。
王女に対するカルロスの態度に、エリオットが無言となった横で、まさかそんな返答がくるとは思ってもいなかったアリスティア王女はポカンとした表情を浮かべた。
そして、「失礼します」と言って早々にこの場から立ち去っていくカルロスの後ろ姿をしばらく見つめた後、頬を赤らめうっとりした顔で「カルロス様は剣を振るう姿は神々しい上に、媚びないところもとっても素敵」と呟いた。
どうやらすっかりカルロスを気に入ってしまったらしく、あれから毎日のようにアリスティア王女は差し入れだったり、直接騎士団の詰め所まで会いに来たり、懲りずにお茶会へ誘ってきたりしているのだ。
それに毎度毎度、カルロスが煩わしいといった態度をとっていることなどまったく知らない国王は、まるで褒美を与えるかのような口調でこっそりと続けた。