凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜

 親子揃ってカルロスに興味を抱いたのか、国王は興味津々に情報を聞き出そうとしたが、カルロスからあっさり否定され、少しばかり腑に落ちない顔をする。
 すると、口元に楽しげな笑みを浮かべてエリオットが話に割って入ってくる。

「恋人はおらずとも、ずっと想い続けている娘はいるようです」
「そんなのいません」

 カルロスから殺気に満ちた目を向けられ、エリオットは思わず口を引き結ぶ。そんなふたりのやり取りに国王は苦笑いして、「エリオットの言うことが本当ならば、興味あるな」とぽつり呟いたのだった。
 いくつか騎士団としての報告を行った後、ふたりは大広間を後にした。
 廊下を進む途中で周りに誰の気配もないことを確認しながら、エリオットが小声でカルロスに話しかける。

「国王様にまであのような言い方をするなんて、本当にお前は命知らずだな。こっちは心臓が縮み上がったじゃないか」
「命令だと言われれば、わかりましたとちゃんと答えていましたよ……たぶん」

 エリオットに倣ってカルロスもぼそぼそと返事をしつつ、ちらりと目を向ける。「嘘つけ」と言わんばかりの面持ちの彼と目が合い、カルロスは知らんぷりを決め込むように顔をそらし、心なしか早足になる。
 警備にあたっている騎士団員からの挨拶に、エリオットは軽く手を上げて、カルロスは僅かに頷く形で応えてから城の外へと出た。
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