凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
ルーリアは己の存在を覆い隠すかのように大判のストールを肩に羽織って、わずかに小さくて自分の足に合っていない靴をなんとか履いて、クロエラへと体を向けた。
「さっさと行くわよ。何せアメリアの社交界デビューですからね。虹の乙女としての顔見せも兼ねているし、手に入れられるチャンスはしっかりと掴み取ってもらわねば」
クロエラはルーリアが魔法石の髪飾りを付けていることをしっかり確認してから、身を翻して歩き出した。
二歳年下の妹の名前に続いた「社交界デビュー」というひと言に、その点は私も同じなのにとルーリアは心の奥底で思いながら、力なく頷いた。
これからルーリアは、トゥイルス国の王妃の四十七回目の誕生日パーティーに出席するために、アーシアン城へ向かうことになっている。
ルーリアは伯母を追いかけて歩きだすものの、小屋から出る手前でわずかに足を止め、そして、思い切るように勇気を持って外へと勢いよく踏み出す。
その瞬間、髪飾りが熱くなり、ルーリアは背筋を震わせる。歩みを止めぬまま肩越しにちらりと後ろを振り返った。
戸口の両脇の壁には、ランプ型の街灯のようなものがつけられていて、ガラスの内側では結界となっている魔法石が球体となって輝いていた。
ルーリアは落ち着かない気持ちになりながら、あまり手入れが行き届いておらず伸びてしまっている雑草を踏み締めた。