凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
目を輝かせながらアドバイスしてきたエリオットに、カルロスは冷めた顔を向けつつ、片手でエリオットを押しやる。体が離れたところでカルロスがスタスタと歩き出したため、もちろんすぐにエリオットもその横に並ぶ。
しばらく無言で歩き続けていたが、騎士団の大きな建物とそれを取り囲む立派な壁と門扉が見えてきたところで、カルロスは淡々と話し出す。
「俺は家族を増やすつもりはありません。闇の魔力を扱う者と黒精霊を根絶やしする。それだけが俺の生きる目的で、目的を達するためには何体だって屍を積み上げてみせる。だから、そんな男と夫婦になるなんて不幸でしかない」
「その気になれば、もっと楽しく人生を送れるだろうに。まったくお前は色々と残念な男だよ」
無表情で胸の内を吐露したカルロスに、エリオットは少し寂しそうに笑いかけた。
それからエリオットは、考え込むように顎に手を当て、カルロスと並んで騎士団の門を通り抜けた後、腑に落ちないようにため息をつく。
「……ただ、俺もルーリア・バスカイルのことは気になっている」
すぐさまカルロスからすこぶる不機嫌な「は?」が飛び出し、大きな一歩と共に詰め寄ってきたため、今度はエリオットが「待て、話を最後まで聞け」と苦笑いでカルロスの体を押し返した。
「お前が唯一気にかけているルーリア・バスカイルとはどんな女性なのかって、気になって調べたんだ。だが、分かったのは病弱ということだけ。あのバスカイル家のご令嬢だっていうのに、いくらなんでも情報が少なすぎる……まるで意図的に隠されているみたいだ」