凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
(……闇の魔力を感じる)
よく目を凝らして辺りを窺うと、庭園の端の方に数体の黒精霊と女の子、ルーリアの姿を見つけ、カルロスは慌ててそちらへと向かう。
普通なら黒精霊などと関わりたくないと思うところだが、ジークローヴ家の男たちは違う。
彼らは強力な魔力を持ち、剣術にも優れているだけでなく、公にはしていないが、実は魔力の流れを見ることができる特殊な目を持っている。
心臓のような役割をしている魔力の核は、それを上回る魔力量で断ち斬ることができるため、ジークローヴ家の男たちは幼い頃から通常の訓練だけでなく剣に魔力を乗せるなどの上級者向けの鍛錬も行う。
特にカルロスは、歴代の猛者たちと比べて頭ひとつ飛び抜けた魔力量と剣技の才能を持っていた。
本人もそれを理解していて、自分も父たちと同じように、人々の心を惑わせて混乱を招こうとする闇の魔術師や黒精霊などから皆を守らなくちゃと思っていた。
途中で馬から飛び降り、カルロスは素早くルーリアの前へと進み出て、剣を構える。
(全部で六体。数は多いけど……)
目だけを動かして黒精霊の数を数えるうちに、再びの違和感を覚えて疑問を抱く。これまで何度も黒精霊と相対した経験があるが、大抵はカルロスに対して天敵を目の前にしたかのような動揺を見せる。しかし、今目の前にいる黒精霊たちはルーリアしか視界に入っていない。