凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜

 握り締められたアズターの手は震えていて、言葉の真剣さと本気さが痛いほど伝わってくる。

「お相手の方は、こんな私を本当に受け入れてくださったのですか?」

 浮かんだ疑問をぽつりと言葉にしたルーリアに、アズターは力強く頷いた。それを見て、ルーリアは躊躇いや不安と向き合うように唇を引き結んだ。

(ここにいたら、もうすぐ私は殺される……でも私は、まだもう少しだけ、生きていたい)

 ルーリアは大きな父の手に自分の左手を重ね置く。小さく頷きかけるとその手が離れ、ルーリアは渡された外套を羽織った。

「お父様。ありがとうございます。お願いします」

 ルーリアが深く頭を下げると、アズターはほんの数秒泣き出しそうな顔をし、「すぐに出よう」と短く囁きかけた。
 結界の役目をするランタンを持つように促され、ルーリアは「それならこれも」と王妃の誕生日につけていた髪飾りを掴み取る。魔法石は割れてしまっていても、効果は多少残っているため、無いよりはましだろうと考えたのだ。

 髪飾りをつけた後、ランタンをしっかりと持って、ルーリアはアズターとともに小屋を出た。
 いつもは鍵が閉まっている通用口から敷地の外へと出て、薄暗く人の気配のない町の中を足早に進んでいく。
 後ろを振り返らずに二つ三つ道を曲がったところで、通りの先に女性と馬の姿を見つける。

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