凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
「アズター、挨拶が済んだらすぐにルーリアと会場を出ろ。俺が力を込めた魔法石だから大丈夫だとは思うが、万が一のことがあって、ルーリアのことがバレてはならないからな。しっかりと監視するように」
「わかりました」
父の神妙な声音での返事と、ディベルの「監視」という言葉に、ルーリアの心が重く沈む。しかしすぐに、自分の髪飾りとネックレスの石の重みを感じ取り、心が不安で掻き乱されないよう必死に務めた。
(大丈夫。城にいるのは一時だけ。それに、伯父様の光の魔力が込められた髪飾りやネックレスを身につけているのだし、冷静でいれさえすれば、黒精霊に見つかることなくやり過ごせるわ)
「早く帰ってきて今日の分の魔法薬の作成に取り掛かりなさい。作り終えるまで食事は抜きだからね」
「……はい。わかっています」
クロエらから当然の顔で念を押され、ルーリアが心に重苦しさを感じながらこくりと頷く。