凍てつく乙女と死神公爵の不器用な結婚 〜初恋からはじめませんか?〜
(カルロス様は私が黒精霊を呼び寄せていることに気づいていらっしゃるけど……それが、黒精霊から祝福を受けたからだということを知っているのでしょうか。もしも、バスカイル家の恥だからとお父様がそこまで伝えていないなら、ちゃんと伝えるべきよね)
アズターからすべて聞いていて、その上で自分を迎え入れてくれたのであってほしいと、ルーリアは切に願う。
しかしそうでないなら、災いの種となるような娘を押し付けやがってと怒らせてしまうだろう。そうなれば屋敷から追い出されることになり、生きていく術のないルーリアなどすぐに路頭に迷うことになる。
誰にも迷惑をかけずにそのままひっそりと息絶えるならそれでも構わない。しかし、魔力を暴走させ、呼び寄せてしまった黒精霊に捕らえられ、闇の力に飲み込まれてしまったらと考えれば、ルーリアは恐怖に震える。
「知っていても、知らなくても、カルロス様やここに住んでいる方達に迷惑だけはかけないようにしなくちゃ」
手元にある魔法石はこの一つだけ。結界の役目をしているこれを絶対に壊してはいけないとルーリアは強く心に決めて、この先の不安を押し殺すようにランタンをきゅっと抱きしめた。
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それから程なくして夜が明ける。庭の木々から鳥の囀りが響き始めると、庭いじりをしていたセレットがひと休みするべく、東屋へ向かって歩き出した。
まだ屋敷はしんと静まり返っている中、カルロスは静かに自室を出ると、足音を立てずに廊下を進んでいく。向かった先は物置きになっている屋根裏部屋で、そこでお目当ての物をいくつも引っ張り出した。