イケメン妻はお飾りの年下夫の愛に囚われる
「まあ、二人それぞれの事情があって、結婚すればある程度解決するようだ。私としては旧友の娘にこのようなことで結婚相手を決めてほしくはないが、意に染まない従兄と結婚して苦労するよりは、まだ彼との方が良い関係を築けるのではと思っている」

「でも…」

「先輩はかつて僕を助けてくれました。今度は僕が強力する番だと思います」

「そんな、あれくらいのことで」

「いいえ。先輩には大したことはなくても、僕には忘れがたい恩です」

「義理堅いんですね」

 数年前の些細な出来事とは言え、アニエスも忘れたわけではない。

 アニエス自身、ラファエルのことを本当はどう思っているのか、まだよくわからない。

 アニエスに対しては、屈託のない笑顔で接してくれている。

 モテすぎるというのは、悩みに入るのかどうな判断できないが、彼にとってはあの顔で生まれたことが不幸なのかも知れない。

 結婚するに当たり彼がベルフ家の養子に入り、名義を全て彼と彼女の共同名義にして、実権はアニエスが持つという覚え書きを交わした。

 本当なら爵位を継いだ男子が全て所有し、実権も握るのだが、そこはアニエスの生家だということを考慮して、共同名義にしてくれたうえに、すべてを託してくれると言ってくれた。

 そこまでの譲歩をしてもらって、アニエスに断る理由はなかった。

 条件としては悪くない相手だと、わかっている。

 ただ、相手の容姿が彼女の予想以上に良すぎて、一抹の不安を拭えなかった。
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