イケメン妻はお飾りの年下夫の愛に囚われる
「もう、ベルフ卿だって、まだ結婚して一年とちょっとですから、まだ新婚ですよね」

「そうですよ。それもすっごく美男の旦那様なんて、うらやましいです」

「ずっと気になっていたのですが、旦那様はあっちの方はどうなのですか?」

 この中で一番年嵩のマーリンが発言した。

「どう…とは?」

「意外に激しいとか、淡白とか。ひと晩で何回?」
「え?」

 聞かれた意味がわからず、アニエスは目を丸くする。他の者たちも、興味津々で彼女を見る。

「ちなみに、うちはひと晩で最高五回です」

「五回!」

「もう三年ほど前ですけど。今は三回かしら。もう身体中真っ赤になるくらいの印を付けられました」

「真っ赤に」

 彼女たちの話を要約すると、男性は一度精を放っても、すぐに復活する者もいて、何度もすることがあるそうだ。そしてその際に唇で肌に吸い付き、所有痕のように体に薔薇の花びらのような痕を残すらしい。

 カーラのもそのひとつで、恥ずかしいと言って胸やお腹、背中や足の内側に付いたものを見せてくれた。

 女性騎士は全体の一割にも満たず、そのような話をしたのはその時が初めてだったアニエスは、大きな衝撃を受けた。

 ラファエルはいつも一回しかしない。

 それが普通だと思っていた。

 男女の夜の生活について、これまでアニエスは誰かとこんなふうに話をしたことがなく、一回が当たり前だと思っていたのだが、そうではなかったことをその日知ったのだった。

「仕方が無いよな。私と彼はカーラ達のような普通の夫婦じゃないから」

 一人になった寝室で、カーテンの隙間から見える月を見上げながらアニエスは呟いた。
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