イケメン妻はお飾りの年下夫の愛に囚われる
ラファエルは、アニエスの後輩として騎士団に入団してきた。

 ベルフ家は武門の名門として有名な家系で、アニエスも将来は女騎士として国に仕えようと心に決めていた。

 両親もそれを応援してくれ、幼い頃から騎士になるために努力してきた。

 もともとの才能と、努力の甲斐あって剣術の腕も男性たちに引けを取らず、実力は十分にあった。

 貴族の令嬢としてはしとやかさに欠けているところもあったが、目の覚めるような赤毛に溌剌とした榛色の瞳と、正義感が強く凛々しい顔立ちの彼女は、学生時代は親衛隊もいて、そこら辺の男性たちより女性にモテた。

 ラファエルは、ディルク子爵の次男で、その美貌を彼は母親から受け継いでいる。

 青みがかった銀髪に、氷のような薄青の瞳。

 女性よりも美しい顔立ちは、誰もが目を瞠るものがあった。

 しかし子爵夫人は彼の実母ではない。彼の実の母親は踊り子で、その美しさに魅せられた彼の父親が、無理矢理愛人にして産ませたのが彼だった。

 踊り子の母親は、子爵の子を産んだことを正妻に知られ、住むところも職も奪われ、子爵に彼を押し付けて命を絶ったという。

 彼の家庭の事情は入隊時の書類と、周りの噂話からある程度の知識はあった。

 彼の美貌は、入隊当時から話題になっていた。女性騎士や女性事務官たちが彼の目に止まろうと、必死になっているというのを、彼女はほかの騎士たちから聞いた。


 しかし、誰一人彼を射止めた者はいなかった。
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