海が凪いだら迎えに来てね〜元カレ海上保安官に極秘出産が見つかるまでの軌跡〜


それから1ヶ月が過ぎた。
あの後、洋平たちが凪砂と命日を過ごしたのかは分からない。ただ、あの日洋平には凪砂には言わないで欲しいとめちゃくちゃ頼み込んだから、きっと大丈夫だと信じている。



それよりも、私は後期つわりという妊娠後期にやって来る第二のつわりのようなものに悩まされており、仕事も休みがちになり、かなり体調を崩していた。



人によってはつわりが全くないという人も居るみたいだけど、私の場合はその体質には当てはまらないらしく、ドラマや小説などでよく目にするようなつわりの症状が付きまとっている。




───気持ち悪い、吐きそう




今日も昼から帰らせてもらって、家でずっとトイレに篭って吐き気と戦っていた。本当に二日酔いみたいな感覚で、それでも薬は飲めないし、ママさん達を本当に尊敬する。




ブー、ブー・・・



どこかでスマホが鳴っている気がするけど、目の前がグルグルして上手く立ち上がれない。



──そういえば、昨日から何も食べてない



以前入院したときも、つわりで食が細くなり体重の減りすぎで入院させられたことを思い出す。


…このままではまた入院させられてしまう。それはどうしても避けたいっ



とにかくなにか食べようと、何とかリビングまで戻り、カップ麺を作ろうとしているとインターホンが鳴った。



液晶に映る人物を見て、ホッと謎の安心感に包まれ急いでオートロックを解除する。



しばらくして部屋のインターホンが鳴り、ドアを開けると両手に袋をぶら下げた洋平が立っていた。



「っよ!お前電話したのに出ろよっ!半休でちょうど近く通ったから寄ってみたけど・・・何、お前・・・幽霊でも見たの?めちゃくちゃ顔面蒼白っ!色白すぎて怖いってっ!」



っと言いながら、「お邪魔しま〜す」と続けて自分の家のように私の家にズカズカと入ってくる。



「っは?お前カップ麺食おうとしてたのっ?!こんなもん身体に悪いだろーが!待ってろ、俺が特製雑炊作ってやるから、そこで座ってろ、バカ妊婦。」


時々ものすごい暴言を吐かれるんだけど、この人・・・外でこんなこと言ったらモラハラ、マタハラで一発アウトだよね。




とはいえ、何か作ってくれるなら今はそれだけで有り難い・・・お言葉に甘えて大人しく座って待っていよう。




キッチン横のダイニングでそっと大人しく座って待つ。その間に母子手帳を開いて前回の検診の時の自分の体重を確認する。




──…うわ、やっぱり少し落ちてる




妊娠後期に体重が落ちるなんてやっぱり危険だよね、病院行った方がいいかなぁ、、。


ペラペラと母子手帳を見ながらそんなことを考えていると、、



「お待たせっ、熱いから気をつけろよ・・・っあ、これってもしかして・・・お腹の中の子どもっ?!」


雑炊を持ってきてくれた洋平が、母子手帳を出した時に一緒に出てきたエコーの写真を見つけて興奮しだした。



「っあ・・・うん。この前の検診の時にもらったやつ・・・見る?」


そっと手に取り洋平に見せると、洋平は目を輝かせて頷いた。



「っえ、いいのっ?!俺見ちゃっていいのっ?!うわぁ、緊張して手震えるわっ」




洋平は私からエコー写真を受け取ると、マジマジと見つめている。




「すげぇな、お前・・・本当に母親になるんだな」





その瞳がとても優しくて、、友人の子どものエコー写真を見てここまで親身になってくれる洋平は、きっといい父親になるだろうなぁっと思った。



っと同時に、、もしも凪砂がこの写真を見たらどんな反応をするのかなっなんて・・・考えても仕方ないようなことを考えてしまう。


< 50 / 134 >

この作品をシェア

pagetop