海が凪いだら迎えに来てね〜元カレ海上保安官に極秘出産が見つかるまでの軌跡〜
浅瀬《あさせ》が凪《 なぎ》る
海がどこまでも浅瀬で、ずーっと凪いだような海なら、凪砂は迷わずに私と瀬凪の元に帰って来られる…そんな思いで付けた名前。
きっと瀬凪の名前を見れば、凪砂は自分の子どもだと確信するだろうけど、もう会うことはないと心に決めている私からすれば、そこは問題点ではなかった。
「─……瀬凪、」
名前を口にするだけで、凪砂の顔も一緒に浮かんでくる。パパも一緒にいる、そんな気がして私はその日何度も瀬凪の名前を呼び続けた。
産後、身体が痛いからと言って休む暇など既に私達母親にはなくて、生まれてすぐに母乳を与えたり、時間を測ってとにかく母乳を飲ませることを命じられ、寝不足で回らない頭を必死に使って自分を保っていた。
そして、瀬凪が眠りについたタイミングで、思い出したようにスマホを開くと、洋平からの着信が213件来ていて、ヤバいなっと思った。
その瞬間、ちょうどスマホが震えだして、急いで電話を受け取った。
「もしもっ……」
「萩花っ!テメェ今どこにいやがる・・・何の連絡もなしとはいい度胸だな・・・お前今すぐ俺にっ、、
「生まれたっ・・・洋平、生まれたよ、赤ちゃん!!っあ、報告遅くなってごめん・・・何か陣痛って思ったより辛くて連絡とか出来る余裕全く無かった」
怒られる前にとりあえず報告しようと思い、淡々と生まれた報告をすると、、
「っは・・・っはあああああ?!おま、、ちょ・・・っえ?!まじかっいや、おめでとう!!ちょっと待って、今から行く」
テンパリまくって電話を切ったようすの洋平は、その後10分もしない内に会いに来てくれて、瀬凪を見た瞬間に号泣しだして軽く引いた。
「っおま・・・頑張ったな・・・何だよ、お前・・・俺の有休返せよっ」
っと、泣きながらまず訴えてきた有休の話に笑いながらも、洋平には一番お世話になったので、とりあえず瀬凪を抱いてもらおうとすると、、
「い、いやっ・・・俺はいいっ!!さすがにそれは凪砂に申し訳ねぇからっ!俺は凪砂が抱き上げた後じゃねぇと、絶対抱かねぇ!!っけど、ちょっとだけ触っていい?うわっ・・・ちっこい手だな、、何だよ可愛すぎんだろーが」
洋平には洋平の考えがあるらしく、瀬凪を抱いて貰えなかったが、遠慮がちに瀬凪に触れる洋平が可笑しくて、記念に写真を撮っておいた。