海が凪いだら迎えに来てね〜元カレ海上保安官に極秘出産が見つかるまでの軌跡〜
そのままその人に手を引かれ、ヘリの真下まで連れて来られた時だった。
「─…ふざけるなっ!次は俺たちの番だったはずだっ!!後から来たやつが先なんておかしいだろっ!?こっちはずっと待ってるんだぞ!」
近くにいた男性がものすごい剣幕で怒鳴り始めたのだ。
私は彼の意見を否定するつもりもないし、自分が一番最後でも構わない。ただ、目の前の毒舌海上保安官が、私の手を掴んだまま離してくれないのだ。
「この船が沈むことはおそらくないです。仮に沈むことになっても、皆さんが救助されたずっと後のことです。だから安心して我々の指示に従って下さい。」
こういう時のマニュアルでもあるのか、台本を読んでいるかのように淡々と話した彼は、私の体に吊り上げに必要な器具のような物をつけようとする。
「沈まないだとっ・・・?そんな確証もないことを簡単に言うんじゃねぇよっ!おいっ、聞いてんのかっ!!!」
余計に逆上した男性が、救助隊の人に掴みかかったせいで、器具をつけられようとしていた私の身体が反動で突き飛ばされる。
咄嗟に胸元に縛っている抱っこ紐の中に居る瀬凪をギュッと抱きしめて、身を守る体制に入った。
──…その時
すぐ後ろで何か落ちるような物音が聞こえて、次の瞬間・・・後ろから抱きしめられるような形で誰かに支えられた。