海が凪いだら迎えに来てね〜元カレ海上保安官に極秘出産が見つかるまでの軌跡〜
瀬凪を腕に抱いたままの凪砂を見て、今更ながらやっと父親の腕に抱かれる事が出来た瀬凪に、俺はなんとも言えない感情が沸き起こる。
一年半、凪砂に遠慮して瀬凪を抱くことをずっと我慢してやったというのに…あっさり瀬凪を抱っこしている凪砂を見て少しムカついた。
「あぁ、そういえば俺・・・お前に言っておくことがある。別に言う程のことじゃねぇけど、お前うるさそうだから、仕方なく言っておく」
何とも腹の立つ言い回しだが、何を言われるのかと少しヒヤヒヤする。
「──待たせたな、俺はもう大丈夫だ」
主語も何も無いたったその一言で、凪砂との間にあった壁のようなものが一瞬で無くなった気がした。
両手が塞がったままの凪砂の額をベシッと指で弾いてやると、こちらを睨みつけてくる凪砂。
「ったく、遅いんだよっ!もう少しで海の上まで殴りに行くところだったぞ」
っと言って笑って見せれば…以前からよく知っている凪砂の無駄にカッコよくて腹が立つ笑顔が返ってきて、もう一度額を叩いておいた。
─…そろそろ帰ってやるか
「じゃあ俺、帰るから・・・萩花と瀬凪のこと頼んだぞ」
頷いた凪砂を見てから、俺は今まで凪砂に対して腹が立っていた気持ちを全部ぶつけるつもりで、最後に一つとんでもない"嘘"をついてやった。
「─…あぁ、そういやお前。瀬凪の父親が誰だか知ってるか?瀬凪の父親は、、」
萩花、ごめんな─……
俺がお前を手助けしてやれるのはここまでだ。あとは二人で話し合って、これから先のことをお前たち二人で決めるんだ。