双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 彼はにっこりと微笑んで、壁にあるメニューを見ながらカウンターチェアに腰を下ろす。

「ありがとうございます。お礼にコーヒーをサービスします」

「いや、ちゃんと買うよ」

 財布を取り出そうとする彼に首を振る。

「決まりなんですよ。ショーケースの中のグラスをお買い上げのお客様には、サービスさせて頂いているんです」

「そう。それじゃ、トラジャをもらおうかな」

「はい」

 彼はほどよい酸味のある香りの高いコーヒーが好きだった。三年前と好みは変わっていないらしい。

 さっそく豆が入った缶を取り、コーヒー好きの祖父がこだわって選んだミルでコーヒー豆を挽く。サイフォンを使うので挽き方は中挽き。瞬く間にコーヒーの香りが広がってくる。

 彼が「いい香りだ」と微笑む。私もコーヒーの香りが好き。

「落ち着いた雰囲気で素敵な店だね」

「そうですか。ありがとうございます」

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