双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 この店は、ショーケースに並ぶグラスを購入してくださるような、ある程度落ち着いた年齢の方をターゲットにしている。目の肥えた客が多いだけに、素敵と言われるとうれしい。

 航輝さんは見るからに柔和で優しそうなのに、気軽にお世辞を言うような人ではない。口から出る言葉は辛辣だったりするのでなおさらだ。

「色とりどりのペンダントライトとか、島の雑貨店を思い出すな」

 店内にはたくさんのペンダントライトがぶら下がっている。

 すべてベネチアングラスで、色も形も様々だ。彼とエーゲ海の島を歩いたときにも、こんなふうにライトを下げていた店があった。

「まさか本当に来てくれるとは思わなかったです」

「できないことは言わない主義なんでね」

 確かに。彼はそういうタイプだ。

「どうぞ」

 アンティークなカップに注いだコーヒーを出すと、「へえ、随分と贅沢なカップだね」と彼が感心する。

「祖父のこだわりで」

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