双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 自分用なのにあんなに高いグラスを買ってくれるなんて。しかも、彼は知らないが私のお気に入りのグラスだと思うと、はからずも感動で胸が熱くなってしまう。

 そういえば三年前も店に行くと言ってくれていた。

 気恥ずかしさもあって場所も店名も教えず、それきりだったけれど、話していればこうして来てくれたのだろうか。

 支払いが済むと、彼は外に目を向けた。

「晴れてきたね」

 いつの間にか雲が切れていたようで、明るい日の光が見える。

 私の心も今は晴れやかだ。

 これからもときどきこんなふうに来てくれて、穏やかに他愛ない話をし合えたらいいのに、と思う。

 未来とかあれこれ考えずに、そのうち彼が恋人を連れてきたりして。家族ぐるみのお付き合い――。

 なーんて。夢のまた夢だ。

 私はそこまで割り切れないから、また来てくださいとは言えない。

 大福さんへの返事もあるし。

「それで――」

 コーヒーカップをソーサーの上に置き、彼は私をじっと見る。

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